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にき|蟹の親子

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『にき』
蟹の親子

A6(文庫)判
183ページ

「日記」のリトルプレスです。

2020年4月、疫病流行のさなかで始まった日記の専門店での店長職。
これだ、と思った仕事に出会ったのも束の間精神を病む。
気付けば2021年4月。
病名が分かってから約五ヶ月が経とうとしていた。
臥す日々と対照的に、賑やかになっていく店。
ワクチン接種、オリンピック開幕、別れと引越し。
毎日の記録のほか、ささやかな日記論をまとめた一冊。

「日記屋」で働く
いま、私は関西圏に住みながら東京・下北沢にある日記専門店「日記屋 月日」という店で、業務委託社員として働かせてもらっ
ています。「日記屋 月日」とは、日記好きが集う拠点です。主に取り扱っている商品は出版された「日記本」。新刊本のほか、セレ クトされた古書や自費出版本(リトルプレス)を置いています。勿論、日記帳も。店主の内沼さんもスタッフも日記が好きだし、 何らかの形でみな日記をつけています。
月日は2020年4月疫病流行の最中にオープンし、なんとか、今に至っています。(中略)
この時期、私は可愛がっていたハムスターと犬に立て続けに旅立たれてしまったのと、転職活動がうまくいかないのとで悩んでい ました。最終選考まで残った面接で頭が真っ白になり、何も言えなくなった場面を何度も思い返す日々。次の「したいこと」が湧 き出てくるまでの時間を繋がなくてはと思いながら、派遣社員として広告代理店で雑務を行う毎日でした。少し引いた所から見て みれば、場面ごとに楽しいこともあったでしょうが、ペットロスによる喪失感もあり、孤独を感じていた気がします。孤独という か、無能感でしょうか。
何をしても続かない、ガッツがない。自己否定の繰り返しです。「したいこと」を優先した先に何が待っているのか。こわかった です。そんな自分が、唯一惹かれたのがその「日記屋」なるものでした。ふと「そんなに気になるなら内沼さんに話を聞きに行け ば良いのでは?」という考えが浮かびます。かつて使っていた名刺入れを漁ると、前職でお世話になった時に頂戴したものが残っ ていました。勢いで「何かお手伝いできることがありませんでしょうか」といった要旨のメールを書く。普通の履歴書と、日記に まつわる経歴書のデータを添付しました。そこには、これまでの日記体験を具に書き込みました。それがこれです——。 (「ささやかな日記論」より)
一日通して橋本治の『恋愛論』を読み返していた。初めて読んだときの自分とあまり変わっていないことに気付き恥ずかしくなる。 橋本治によれば、人を好きになるというのは、自分と似ているところと違っているところが相手にちょうど半分ずつある状態であり、 しかもその違っているところを、自分がそのままにしておくことだという。そして破局はその逆で、だんだん似せようとして、相手に 合わせていくことが無理になっていくことで起こるのだと。
私が五年も六年も同じ人を好きでいるのは、こういうことなのかもしれない。 夜はバターチキンカレー。若干、胃もたれ。(2021年8月4日(水)の日記より)


蟹の親子
1991年生まれ。現在、関西在住。 大学事務、書店勤務を経て日記専門店「日記屋 月日」の店長 を2020年4月から2021年10月まで勤めた一般市 民。日記をつけることや、読むことについての考えを今回初め てまとめました。Twitter:@kani_oya

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