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熊谷七恵『旅食中毒記』

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この星は、美味しいものであふれている

ペルー、ドイツ、クロアチア、イラン……
訪れた土地で恋した料理、その背景に流れる人々との記憶をたどる旅食エッセイ


塀をくぐると、軒下で若い女性がちょうどラヴァシュを焼いていた。美しい人だった。少しアンニュイな雰囲気、はっきりとした輪郭、奥ゆかしい顔立ち。生地を回し伸ばす仕草、クッションに張り付けていく動き、鉄板に叩きつける力強さ。流れるように繰り返される全ての瞬間が美しかった。そっとカメラを向けると、静かに微笑んで、そして焼き続ける。しばらく見惚れていると、奥から先ほどの男性がお茶を運んできてくれた。来訪者にお茶を出す文化はこんな生活資源の限られた山奥にも根付いているのか。

「バフティアリ族を訪ねて イラン」より


【目次】 
はじめに 
星空の上を歩く ボリビア 
アヒ・アマリージョの誘惑 ペルー 
エブリデイトマトパスタ スペイン 
だまされてマックーダ モロッコ 
カオソーイに恋して タイ 
命がけの市場メシ タイ 
草原のプリンス モンゴル 
草原の教え モンゴル  
サンドイッチと夜明けのレアヒェ ドイツ 
プラハで楽しむ食堂グルメ チェコ
アイバルのある生活 モンテネグロ 
クジラのツナサンド クロアチア
羊飼いの鍋 ハンガリー 
カレー革命 バングラデシュ
バングラデシュ風どら焼き バングラデシュ 
海辺の街を歩く ギリシャ 
オスマン帝国を食す トルコ 
バフティアリ族を訪ねて イラン
詩と哲学とフルーツ料理 イラン 
番外編 モハメッド 
おわりに 

四六判、並製、184ぺージオールカラー

【著者プロフィール】
熊谷七恵(くまがい・ななえ) 

1999年北海道生まれ。歯科医師、写真家、文筆家。大学在学中に一年間の食を記録したフォトエッセイを制作したことをきっかけに、食べることの意味、その背景にあるものについて考えはじめる。現在は食を通して世界を知るおもしろさを探究しながら活動の場を広げている。現地のものは何でも食べるがお腹がよわい。気がつくとカレーを食べている。本書が初の著書。

note@七恵/日常の食エッセイを更新中

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