スタンダードブックストア
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TENNOJI BASE
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『たね』
¥4,400
この絵本のテーマは「たね」です。 といっても科学的な図鑑ではありません。 生きているのか死んでいるのか分からない一粒のたねが、ある時、芽を出し、成長をはじめる。その神秘的な力についての考察です。 たねは奇跡である。 豊かな未来への可能性を無限に秘めている。 神秘的とも思えるたねとはいったい何なのか。 このような本がこれまであったでしょうか。 ポップアップ形式(「たねとは何か」)、 アコーデオン形式(「たねの旅」)、 絵本形式(「たねと女性」)、 折りたたみ形式(「たねと宇宙」)の 4つのパーツが一冊の本の中に綴じ込まれた、画期的な造本とデザイン。 シルクスクリーン印刷によるハンドメイドの素朴な味わい。 先住民族のワルリ画アーティスト、ワイエダ兄弟による緻密で美しい絵。 たねの力をあますところなく追求した驚くべき絵本。 これは、まさに私たちの新しい未来へ向けたメッセージです。 発行: タムラ堂 ギータ・ヴォルフ 文/ワイエダ兄弟 絵/青木恵都 訳 日本語デザイン セキユリヲ+守屋史世 27cm×27cm/上製/46ページ ケース入り シリアルナンバー付
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『夜の木』 12刷
¥3,960
SOLD OUT
『夜の木』第12刷 シャーム/バーイー/ウルヴェーティ 青木恵都 訳 【大きさ】35mm × 23mm、40ページ 2008年のボローニャ・ブックファアで絶賛され、ラガッツィ賞(ニューホライズン部門)に輝いたインドの絵本The Night Life of Treesの日本語版が2012年7月にタムラ堂より出版されました。 版ごとに表紙の絵柄が変わります。(今回の第12刷の表紙は、この絵本の冒頭に登場する物語「闇夜に光る木」の場面です。) 世界中で注目されたこの絵本は、中央インド出身のゴンド民族の最高のアーティスト、シャーム、バーイー、ウルヴェーティの3人によって描かれた木をめぐる神話的な世界です。 夜になるとその本性を現すという聖なる木。人々から畏れられ、また崇められている木。神が住むと言われる木。そのような木々が、ページを繰るたびに目を見張る美しさで次々と姿を現します。プリミティブでありながら洗練され、繊細でしかも力強く美しい世界です。 全てがハンドメイドという画期的な絵本。手漉き紙に、シルクスクリーンで一枚ずつ刷られ、製本は手製本。インドのチェンナイ郊外の工房で、一冊ずつ丁寧に仕上げられました、まさに工芸品とも言うべき絵本(シリアル・ナンバー入り)。ずっと手元においていつまでも眺めていたい一冊です。
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夜の木 第11刷
¥3,960
SOLD OUT
『夜の木』第11刷 シャーム/バーイー/ウルヴェーティ 青木恵都 訳 35mm × 23mm、40ページ 限定3,000部 2008年のボローニャ・ブックファアで絶賛され、ラガッツィ賞(ニューホライズン部門)に輝いたインドの絵本The Night Life of Treesの日本語版が2012年7月にタムラ堂より出版されました。 版ごとに表紙の絵柄が変わります。 世界中で注目されたこの絵本は、中央インド出身のゴンド民族の最高のアーティスト、シャーム、バーイー、ウルヴェーティの3人によって描かれた木をめぐる神話的な世界です。 夜になるとその本性を現すという聖なる木。人々から畏れられ、また崇められている木。神が住むと言われる木。そのような木々が、ページを繰るたびに目を見張る美しさで次々と姿を現します。プリミティブでありながら洗練され、繊細でしかも力強く美しい世界です。 全てがハンドメイドという画期的な絵本。手漉き紙に、シルクスクリーンで一枚ずつ刷られ、製本は手製本。インドのチェンナイ郊外の工房で、一冊ずつ丁寧に仕上げられました、まさに工芸品とも言うべき絵本(シリアル・ナンバー入り)。ずっと手元においていつまでも眺めていたい一冊です。
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世界のはじまり 4刷
¥3,960
SOLD OUT
『世界のはじまり』 バッジュ・シャーム 作・絵 ギーター・ヴォルフ 文 青木恵都 訳 天地285mm × 左右284mm 24ページ / ハードカバー スリーブケース入り 製作部数2,000部、シリアルナンバー入り ※シリアルナンバーはお選びいただけません。 『夜の木』の画家のひとりとして多くの読者を魅了し続けている現代ゴンド・アートの第一人者バッジュ・シャームが、中央インドのゴンド民族に伝わる創造神話の豊かな世界に分け入り、人々の日々の暮らしに息づく数多の物語の本質をすくい上げ、壮大なスケールで描き上げた画期的な絵本。 ギーター・ヴォルフが紡ぎだす詩的で端正な文章が、青木恵都のみずみずしい日本語で訳出され、私たちを深淵な神話的世界へいざなう。 水がほとばしり出て、大気が渦巻き、大地が生まれ、時が刻まれる。 季節がめぐり、命が生まれ、芸術が誕生する。そして死が…。 しかし、終わりの後には新たな始まりがやって来る。 インドのターラー・ブックスで出版された Creation (2014) の日本語版。 『夜の木』(タムラ堂)と同様に、南インドの小さな工房で、古布を材料とした手漉きの紙に、シルクスクリーン印刷で刷られ、さらに手作業による製本で、1冊ずつ丁寧に仕上げられている。手のぬくもりに包まれた、まるで工芸品のような絵本。 (シリアルナンバー入り)
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時をこえて~ひと針のゆくえ
¥3,740
『時をこえて~ひと針のゆくえ』 アナイス・ボーリュー / 青木恵都 訳 日本語版デザイン セキユリヲ B4変型 350mm × 230mm 40ページ 上製・クロス装 スリーブケース入り 出版社より 今回の新刊は、『夜の木』と同様にインドのタラブックスの本ですが、これまでのようなインド先住民族の民俗画の絵本ではなく、シルクスクリーン印刷によるハンドメイド本でもありません。本文はオフセット印刷です。 作者はフランスの現代刺繍作家、アナイス・ボーリュー。 黒いビニールのごみ袋に、絶滅危惧の植物が美しく刺繍されているという不思議な作品集です。 作者は西アフリカを旅行中に目にした異様な光景に衝撃を受けます。無数の黒いビニールのごみ袋が道端の木々を覆い尽くしていたのです。この状況を前にして、刺繍作家として自分が出来ることは何か。そこで思いついたのが黒いビニール袋に絶滅が危ぶまれる植物を刺繍し作品にするということでした。 この刺繍の作業にかかる膨大な時間は、やがて消えてゆく植物たちの生きてきた時間を呼び覚まし、長い年月をかけて祖母から母へさらに娘へと受け継がれてきた刺繍と重なります。 とはいえ、この本は、環境問題についてメッセージを声高に叫んでいるわけではありません。 まずは、精緻な刺繍の美しさを味わっていただきたい。 背景の黒いビニールは、時には岩肌のようであり、時には風が吹きすさぶ荒野のようでもあります。あるいは漆黒の闇かもしれません。 この本では、ひと針ひと針に込められた作者の思いが、時をこえて私たち読者を様々な場所へと連れていってくれるはずです。
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ゴンド・アート インドの民族画
¥3,960
SOLD OUT
『ゴンド・アート』インドの民族画 Touch the GOND 編 A4変型判 縦271mm × 横196mm 112ページ 装丁・レイアウト 矢萩多聞 動植物や神話・寓話などをテーマとして描き、発想力豊かな構図と、モチーフのなかに敷き詰められる細かく美しいパターン模様が特徴。 Touch the GOND(タッチザゴンド) 2014年からインド中央部の先住民が描くゴンド・アートを紹介。原画展やイベントを開催すると同時に、定期的に現地を訪問し、画家たちと親交を深めながら民族に伝わる寓話や神話などの聴き取りもしている。
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夜の木 第10刷
¥3,520
SOLD OUT
『夜の木』第10刷 シャーム/バーイー/ウルヴェーティ 青木恵都 訳 35mm × 23mm、40ページ 2008年のボローニャ・ブックファアで絶賛され、ラガッツィ賞(ニューホライズン部門)に輝いたインドの絵本The Night Life of Treesの日本語版が2012年7月にタムラ堂より出版されました。 版ごとに表紙の絵柄が変わります。 世界中で注目されたこの絵本は、中央インド出身のゴンド民族の最高のアーティスト、シャーム、バーイー、ウルヴェーティの3人によって描かれた木をめぐる神話的な世界です。 夜になるとその本性を現すという聖なる木。人々から畏れられ、また崇められている木。神が住むと言われる木。そのような木々が、ページを繰るたびに目を見張る美しさで次々と姿を現します。プリミティブでありながら洗練され、繊細でしかも力強く美しい世界です。 全てがハンドメイドという画期的な絵本。手漉き紙に、シルクスクリーンで一枚ずつ刷られ、製本は手製本。インドのチェンナイ郊外の工房で、一冊ずつ丁寧に仕上げられました、まさに工芸品とも言うべき絵本(シリアル・ナンバー入り)。ずっと手元においていつまでも眺めていたい一冊です。
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太陽と月 第4刷
¥3,300
『太陽と月』第4刷 ※画像は表紙以外は第3刷の画像です。中身は第4刷も同じですが、表紙、裏表紙の色が1枚目の画像の色となります。 10人のアーティストによるインドの民族の物語 青木恵都 訳 260mm × 290mm 上製 26ページ 今話題のインドのターラー・ブックス(タラブックス)から出版された Sun and Moon (2016) の日本語版。今回の第3刷は、澄みきった夜空を思わせる美しいブルーの表紙です。 10人のインドの先住民族の代表的なアーティストが、それぞれの民族に伝わる物語をもとに太陽と月を描いた画期的な絵本。見開きごとに太陽と月が、独特の民俗画のスタイルで、丁寧にのびやかに描かれている。 私たちの日々の暮らしの中で当たり前のように存在している「太陽」と「月」。昔から人々は、そこに神の存在や象徴的な意味を見出してきた。そのような世界観、宇宙観が、今、美しいハンドメイド絵本として私たちの目の前に差し出された。 『夜の木』、『世界のはじまり』(タムラ堂)と同様に、南インドの小さな工房で、古布を材料とした手製の紙に、シルクスクリーン印刷で刷られ、さらに手作業による製本で1冊ずつ丁寧に仕上げられたハンドメイド絵本。(シリアルナンバー入り)※シリアルナンバーはお選びいただけません。
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インドのけもの
¥2,750
SOLD OUT
『インドのけもの』 カンチャナー・アルニーとギータ・ウォルフ 編 清水玲奈 訳 A4変型、50ページ ケース入り 奇跡の出版社とも呼ばれる、南インドの「タラブックス(Tara Books)」が贈る インド各地の部族に伝わるさまざまな芸術様式で描かれた とら、ぞう、うし、しか、へびなど、インドを代表する動物たちが登場する絵本 待望の日本語版です はっとするほど独創的な作品の数々は地元のアーティストたちの豊かな想像力と表現力の賜物です。 本書は一枚一枚丁寧に作られた手漉きの紙にシルクスクリーンプリントによって1枚ずつ印刷され手製本で綴じられた、ハンドメイドの絵本です。 シルクスクリーンプリントだからできる繊細で、色鮮やかな動物たち 一様ではない手作り感溢れる紙の手触り 他の本にはないインク独特の香り、五感で楽しむ特別な本です。 日本語版には、ケースとシリアルナンバー 本と同じサイズのアートプリントつきです。
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タラブックス インドのちいさな出版社、まっすぐに本をつくる
¥2,420
SOLD OUT
『タラブックス』インドのちいさな出版社、まっすぐに本をつくる 縦188mm × 横148mm 216ページ 世界中の本好きを魅了し、奇跡の出版社とも呼ばれる南インドの「タラブックス」。 圧倒的に美しい本を次々と世に送り出し、ボローニャ・ブックフェア・ラガッツィ賞をはじめ、数々の賞を受賞している。手漉きの紙に、シルクスクリーンによる手刷りの印刷、製本もすべて人の手によって行われているというのだから驚きだ。発注から納品まで1年かかってしまうこともあるスローな生産スピードにもかかわらず、いまや数万部のベストセラーをいくつも抱える、世界で最も注目される出版社……。彼らはいかにしてこのような素晴らしい本を作り、世に知られることとなったのか? 実は日本でよく知られているハンドメイド絵本の他に、オフセットで作られたものも多数存在する。それらも含め世界各地で長く読み継がれているのは、彼らの社会や文化へのまなざしが根底に流れているからに他ならない。本書は「デザイン書」、「本の本」という枠組みを越え、これからの生き方、働き方に対するヒントが詰まった一冊です。 <目次> ・イントロダクション タラブックスの本づくり タラブックスで、一冊の本が完成するまでの歩み。 1章 タラブックスができるまで 企画から編集、デザイン、製本、タラブックスの本作りにはすみずみまで一貫した哲学がある。彼らの働き方、生き方から、素晴らしい本が生まれる背景を探る。(文:野瀬奈津子[KAILAS]) 2章 本の故郷を訪ねて タラブックスのビルディング、印刷製本工房のAMMスクリーンズ、そして紙工場。美しいハンドメイド本を生み出す「本の生まれ故郷」を、自身もタラブックスのファンである装丁家が訪ねた。(文:矢萩多聞) 3章 タラブックスで働く人びと タラブックスで働く人々へのインタビュー。編集・デザイン、印刷・製本、経理・営業など、さまざまなポジションのスタッフたちによって語られる「タラブックスの働き方」とは? 4章 『夜の木』の村へ 数あるタラブックスのハンドメイド本の中でも人気を誇る、絵本『夜の木』。作者バッジュ・シャームとともに、描かれた木のある村を訪ねた。(写真・文:松岡宏大[KAILAS]) 5章 タラブックスと日本 意外なことに、日本とタラブックスのつながりは深い。日本でタラブックスのハンドメイド本を初めて発刊したタムラ堂のおふたり、ギータ氏と深い親交がある板橋区立美術館・松岡希代子氏、タラブックスから著作を発刊予定のおぐまこうき氏と齋藤名穂氏へのインタビューから、日本とタラブックスの関係を探る。 6章 ちいさくあること ギータ・ウォルフとV・ギータ 創設者であるギータ・ウォルフ氏、V・ギータ氏の二人に、タラブックスの本作りについて聞いたロングインタビュー。 ・巻末付録 タラブックスのこれまでの本 創設から現在までの、タラブックス刊行物リスト。
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NEUTRAL COLORS 1
¥2,640
SOLD OUT
『NEUTRAL COLORS』 2020 SPRING ISSUE1 加藤直徳 B5正寸 257mm x 182mm 232ページ NEUTRAL、TRANSIT、ATLANTISを生み出してきた編集者による集大成的な作品。世界初(?)、オフセット印刷とリソグラフ印刷を5000部融合させた、オルタナティブな雑誌です。創刊号の特集は「人生とインド」。タラブックスの絵本が生まれる現場密着取材や、伝説のインド料理店「砂の岬」の店主日記、ユザーンによるタブラ修行日誌……などなど、インドが人生に張り付いてしまった人の、“超個人的”な想いが迸る内容です。最新の印刷技術と手作業が混じり合ったとき、唯一無二の雑誌が生まれました。 NEUTRAL COLORSの特徴 ・超個人的なインドへの想いが綴られた記事内容 ・かつてない色彩のビジュアルと、豊富すぎる文字量 ・週刊誌のような厚みのある中綴じマガジン仕様
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つなみ
¥3,850
SOLD OUT
『つなみ』 ジョイデブ&モエナ・チットロコル【著】 スラニー 京子【翻訳】 154mm × 375mm 12ページ 【インドの出版社タラブックスによるハンドメイド本「TSUNAMI」。待望の日本語版が刊行!】 『夜の木』『水の生きもの』『世界のはじまり』など、いま世界でもっとも美しい本をつくる出版社「タラブックス」。彼らの本づくりの真髄は、現実とじかに向き合いつつ、それを物語や芸術として昇華する手法にあります。また、シルクスクリーン印刷と手製本によって、ひとつとして同じものがない作品に仕上げられています。 家から家へと訪ねて歩き、絵巻物を見せながら、うたい、聞かせる語り部「ポトゥア」。連綿と受け継がれてきたこの伝統は、インド東部やバングラデシュの一部の地域に、いまも息づいています。 本書『つなみ』は、2004年に起きたインド洋の大津波の被害を描き、歌い、語り歩いた「ポトゥア」とインドの出版社・タラブックスとの共同作業によって生み出された作品です。痛ましい現実に目を背けたくなるとき、絵と歌によって現実に向き合うことができることを、彼らは教えてくれます。 シリアルナンバー記載あり。タラブックス創業者V.ギータや翻訳家スラニー京子、装丁家・矢萩多聞らによるエッセイを集めた小冊子付き。
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南インド キッチンの旅
¥2,750
SOLD OUT
『南インド キッチンの旅』 齋藤名穂 B5判変型、上製本 224ページ 世界の本好きを魅了するインドの出版社タラブックスから出版され好評を博した、齋藤名穂さんの『TRAVELS THROUGH SOUTH INDIAN KITCHENS』の日本語版です。 著者の齋藤名穂さんは、東京で活動する建築家・デザイナー。2013年に東京で開催されたワークショップでタラブックスの 代表ギータ・ウォルフ氏と出会い、一緒に本を作ろうと誘われます。ほどなくして赴いた南インド、チェンナイの滞在先 のキッチンで、使い途のわからないものに囲まれ途方にくれた齋藤さんは、旅行者にとって最も縁遠い場所はその土地の「家 庭のキッチン」なのではと思い至ります。こうして南インドのキッチンをめぐる旅が始まりました。 本書は、著者が南インドに滞在した3ヶ月間に、21のキッチンを訪ねた記録です。職人たちの社宅のキッチン、魚商のおばさんが大勢に惜しみなく食事をふるまう小さなキッチンや、津波の爪痕がのこる村で若い母親が家族に昼食を拵える薄暗いキッチン。ときに驚き、戸惑いながら、齋藤さんは南インドの人々やその暮らしぶりを誠実に見つめます。 「キッチンにこそ、その土地の文化 や日常の暮らしの本当の姿がある」と齋藤さんは語ります。キッチンでの会話や目にしたものを綴ったテキスト 、キッチンの実測図と料理のレシピ、スナップ写真、そして手描きのイラストがまとめられたこの本は、南インドの人々の日々の営みを飾ることなく描き出したスケッチブックのような一冊です。 本文より抜粋 彼女のキッチンで発見したことは、キッチンは一つの部屋ではない、ということだ。キッチンは、キッチンと名付けられた部屋から始まって、隣の居間へ、ときに屋外のベランダへと広がっていく。作業台で準備した野菜は床に移動され、そうすると今度は床が作業台になって野菜が切られていく。料理が進んで行くごとに、私の予想を少しずつ超えて、アンティのキッチンは広がっていった。それは楽しい驚きの連続だった。 (「広がるキッチン」より) 典型的な民家とされるこの家は、奥へ奥へと部屋が続く。玄関入ってすぐは、私たちが最初に通された客間。その次はソファとテレビのある居間。居間の横には、壁中にヒンドゥーの神様の絵が飾られた祈りのための部屋がある。居間の奥がキッチン。キッチンは薄暗く、奥の勝手口の扉の隙間から少しだけ光が入ってくる。レヌガのキッチンはこれまで旅をした中で一番遠い場所にあると思う。私はそのことを思いながら、今、彼女のキッチンの真ん中に立っている。 (「停電中のキッチン」より) 朝の4時。まだ街は眠っていて、夜と朝の合間のような時間。これから始まる1日の中で、一番涼しい時間でもあるはずだ。牛乳パックの底のようなこの場所に座って、おしゃべりをし、チャイを飲む、それはとても安心する穏やかな時間であったにちがいない。このキッチンには思い出がつまっている。もうキッチンとしては機能していないけれど、一人の男性を、遠いハワイからこの古く小さな街へと連れ戻してくるだけの力が、このキッチンにはまだあるみたいだ。 (「記憶の中のキッチン」より) さまざまなキッチンを訪ね、その持ち主と語らい、彼らが料理する姿を観察する。それだけだ。 ところが、彼女がそこに見出した物語は、豊かで、複雑で、いくつかの分野を横断するものとなった。 タラブックス代表 ギータ・ウォルフ 齋藤名穂(サイトウナオ) 東京生まれ。建築家、デザイナー。早稲田大学理工学部建築学科卒業後、フィンランドへ留学。ヘルシンキ芸術デザイン大学空間デザイン専攻修了。UNI DESIGN主宰。目の見える人と見えない人が一緒によむ地図や、建物の記憶をひき継ぐ家具、保育園の家具・ワークショップのデザインなど、人や素材の中にある場所・建築の記憶をテーマにしたデザインを多く手がけている。 2017年に板橋区立美術館で開催された展覧会「世界を変える美しい本 インド・タラブックスの挑戦」では、会場デザインおよび展示ボックスのデザインを佐野哲史(Eureka)と担当した。