スタンダードブックストア
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管啓次郎『本と貝殻』
¥2,750
『本は読めないものだから心配するな』(ちくま文庫)の著者による最新の、本にまつわる書物・読書エッセイ。 本書は、稀代のエッセイストがいろいろな媒体に書きつづったさまざまな書評や読書論のなかからとくに厳選したテクストを集成したものです。読書の方法と書物への讃歌にあふれた本です。 本とともに生きたいとのぞむ人たちへとどける、読書のための書物の実用論です。 【目次】 本と貝殻 Ⅰ 読むことにむかって 立ち話、かち渡り/本のエクトプラズム/横切ってもたどりつかない[プルースト]/詩との出会い[西脇順三郎]/京都との出会い[林達夫]/文体との出会い[吉田健一]/雑学との出会い[植草甚一]/翻訳文学との出会い[サン゠テグジュペリ、パヴェーゼ] Ⅱ 心の地形30 ハーンという驚異の群れ/誰も見たことがない映画を/火山が教えるもの/写真をどう語るか/そこにないものを想像する動物、われら/森と海をむすぶ視点が呼ぶ深い感動/神話が覚えていること/味覚的ポストコロニアル/運動し流通する写真/年齢も境遇もちがう六人の「さきちゃん」とともに/Neversという土地の名の意味/牛の胃の中にある希望の大地/ウイグルの大地をみたす詩/声を探し、声にすること/「北国の少女」をくりかえし聴きながら/寄せては返す批判の言葉/人生を変えるための小説へ/グアテマラでユダヤ人として生きること/肉食について真剣に考えるために/世界音楽を生きる彼女/言語学小説はいかにして可能なのか/生命をめぐる態度の変更について/世界史の最先端を生きた島へ/気まぐれ経済のユートピアについて/みずみずしい線をまとい甦った可憐でモダンな歌、その生涯/帰れなかった帰郷へ/心の扉をあけると/新しい意識を本気で求めるなら/蜜蜂が書いた日本語の文章を Ⅲ 読売書評2012-2013 ステーキの意味論/手と土の仕事について/破壊を超える言葉を/言葉の究極のコラージュ/装いの詩と真実/見過ごされた大作家のヴィジョンについて/詩という領土なき大地/この土地は草に、木に/驚くべき旅人の音声発見/異郷を歩いてゆくカメラの旅/土地の運命を一から考えること/あなたの服を見せて/巨匠の不思議な恋愛小説/スワヒリ語世界のお話の夜へ/至高の道草文学への招待/映像で学ぶ科学/精神分析という知のあり方について/一世紀を生きた人類学者の遺産/この土地をかれらと共有するために/彼女はいつどこで何を考えたのか/物語を超えた言葉の群れへ/なつかしさのむこうにある真実への接近/動物と出会うとき人は何を考えるか/北の島に残る言語をめぐって/代々木公園に立ちこめる記憶の霧/文学が合宿にはじまるとしたら/二〇一二年の三冊/物語の途方もないおもちゃ箱/辛さに挑み、叫べ/こんな作品を見たことがあっただろうか/小説家、あるいは仮死の身体/この過剰な贈与を考えぬくために/すべてがぐるぐると渦巻く海岸で/廃墟の幼児たちが詩人になるとき/さあ、バオバブの島国へ/イディッシュ語作家が背後にもつ世界/英語とは日本語にとって何だったのか/人々の情動に感応する人類学へ/食物が言葉に変わるとき/無人を通して歴史の層にふれる詩集/われわれと共に進化してきた同伴種へのまなざし/猫旅、ふたたび/孤独な人生に光がさす小さな瞬間/学にとりつかれた亡命ユダヤ人の肖像/シルクロードの食に誘惑されて/スペイン語文学が世界にもたらすもの/中継せよ、と言語がいった/壁はいまもある、記憶の中に/宗教は世界をいかに造形してきたか Ⅳ 四つの解説、対話ひとつ 近現代からいかに出てゆくか?[ジャン=フランソワ・リオタール]/文字のやし酒に酔いながら[エイモス・チュツオーラ]/パルテノジェネシスから言語的ジェネシスへ[古川日出男]/Transversal, translingual[リービ英雄]/過去はつねにこれから到来する[エドゥアール・グリッサン] あとがき 【「あとがき」より】 本という物のふしぎな性格は、それがこの世のあらゆるものにつながっていることだ。少なくとも、人間の意識がおよぶあらゆるものに。ヒトが集合的に経験したすべての記憶がいずれかの本に流れこみ、個々の本からはそれを手にした人の数だけ別方向にむかう細い流れが生じる。知識も、情感も。一冊一冊の本がタイムマシンでありきわめて現実的な意識のヴィークルであることも、いうまでもない。本を大切にしよう。 本を語るときにそれを自然物にたとえたくなるのは、ぼくの趣味にすぎないのだろうか。そんなことはないと思う。本は貝殻にも花にも似ている、砂ねずみにもメタセコイアの大木にも似ている、流星にも虫を閉じこめた琥珀にも似ている。この世に存在してヒトの経験の中に入ってくるあらゆるものに似ることができるのが本なのだ。そしてそれは玉手箱でありびっくり箱であり手鏡でもある。すずめのようにチュンチュンと鳴きながら群れなして飛びたつこともある。予想をつねに裏切ってくれる。未知の海鳴りが、いつもそこから聞こえる。 ここでは本を貝殻にたとえてみたが、貝殻は意志なく意図なく自然発生することはなく、その中に住んだ貝の生命が生きてゆくために硬い住処を作り上げるわけだ。海水とのあいだの物質交換の果てに。本の作者と本との関係も、このプロセスにたとえられるのではないだろうか。できあがった貝殻から作者が出ていくとき、その空いた貝殻に読者がひっこしてくる。そして書評という行為が何に似ているかといったら、それは生け花だと思う。本という素材の一部を切り取り、それを新しいアレンジメントに投げこむ。組み合わされ配置された花たち(=引用文たち)は、もともともっていた生命の連関の名残により、新たにつむがれた文の中でも新しく輝く。書評執筆者は一種の花道家として、さあ、見てください、といえるかたちと色合いを、限られた字数のうちに実現しようとする。そこには意味も過剰なくらいに入っているのだが、どれだけ伝わるかはわからない。最低限つたわるといいと思えるのは、論じられる元の本それ自体が、この世界に対して与えようとしていた振動。個々の本の意志、そのafterglow。 今世紀に入ってからもかなりの点数の書評を書いてきたが、紙幅にはつねに物理的制限あり。本書にもそのすべてを収録することはできなかった。そもそも、データもすでに散逸しているのは、それぞれの文がいきものである以上、仕方がない。かれらは逃げていったのだ。それでもここに収めることができた書評とエッセーが、この十年あまりの自分のそれぞれの本に対するそのつどの動物的反応だとはいえるだろう。ありがとう、本たち。ありがとう、その作者たち。震災後、二年間にわたって書評委員として読売新聞に書いた文はすべてを収録することにした。一時代の新刊書という動物たちの群れに対して、一匹の犬がだいたいこれくらいの幅で反応している、というサンプルのつもりで。 錯綜をきわめたにちがいない編集を担当してくれた出版社コトニ社の後藤亨真さんに、心から感謝します。 二〇二三年四月九日、狛江 四六変型判 320ページ 【著者略歴】 管啓次郎(すがけいじろう) 1958年生まれ。詩人、比較文学研究者。明治大学理工学部教授(批評理論)。同大学院理工学研究科<総合芸術系>教授。1980年代にリオタール『こどもたちに語るポストモダン』、マトゥラーナとバレーラ『知恵の樹』の翻訳を発表(いずれも後に、ちくま学芸文庫)。以後、フランス語・スペイン語・英語からの翻訳者として活動すると同時に『コロンブスの犬』『狼が連れだって走る月』(いずれも河出文庫)などにまとめられる批評的紀行文・エッセーを執筆する。2011年、『斜線の旅』にて読売文学賞(随筆・紀行賞)受賞。2010年の第一詩集『Agend’Ars』(左右社)以後、8冊の日本語詩集と1冊の英語詩集を刊行。20ヵ国以上の詩祭や大学で招待朗読をおこなってきた。2021年、多和田葉子ら14名による管啓次郎論を集めた論集 Wild Lines and Poetic Travels (Lexington Books) が出版された。東日本大震災以後、小説家の古川日出男らと朗読劇『銀河鉄道の夜』を制作し、現在も活動をつづけている。
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ドリアン助川『幸運であるトムとセセリチョウの世界』
¥2,530
たとえ大きなものになれなくても、社会からずり落ちていても、あなたはすべてを包み込む自然とその循環の中で生きている。 遠い“過去の記憶”を宿し、たくさんの生きものたちと出会い、共に歌い、夢をみて、木々や雲とさえ語り合える。 生と死に向き合いながら物語を紡ぎ、それらを自らの声で語ることを長年ライフワークとしてきた著者。 本書は、この星の多様な仲間たちの言葉や営みにかさねて、著者が胸の奥に秘めた想いを初めて綴った詩集。 きょうだいのように育った犬への追憶を含め、犬にまつわる五編も加えた全三十六編を収録。 目次 『幸運であるトムとセセリチョウの世界』 土 タヌキ コスモス サンショウウオ オサガメ シジュウカラ ウスバカゲロウ カラス クジラ コウモリ シマリス オットセイ ヒキガエル キタキツネ シオカラトンボ 藻 アゲハチョウ イモリ ホタル ラクダ アブラゼミ ムクドリ 雲 繭 コオロギ ナマコ セセリチョウ ヤブイヌ ツバキ ドングリ ブナ 『犬は犬ではない』 花火 砂の犬 犬は犬ではない 犬ぞり 尻尾のない犬 装幀・装画:井上奈奈 184ページ/四六判 上製/クロス装/箔押し 【著者プロフィール】 ドリアン 助川 (ドリアン スケガワ) (著) 作家、詩人、歌手。明治学院大学国際学部教授。 1962年、東京生まれ。早稲田大学第一文学部東洋哲学科卒。 1990年にロックと詩の朗読を融合させたバンド「叫ぶ詩人の会」を結成しデビュー。95年からは若者の悩み・苦しみに向き合う深夜ラジオ番組のパーソナリティーを務めた。 1998年長野パラリンピックの大会歌『旅立ちの時』を作詞。 1999年にバンド活動を休止、3年間ニューヨークに滞在、当地で同時多発テロを目の当たりにする。 帰国後、本格的に作家活動に入り、映画化もされた『あん』など、数多くの作品を世に送り出してきた。 「叫ぶ詩人の会」以降も、作家活動と並行して複数のグループで朗読や歌による表現活動を続けている。 近著として『線量計と奥の細道』(幻戯書房、集英社文庫)、『新宿の猫』(ポプラ社)、『水辺のブッダ』(小学館)、『寂しさから290円儲ける方法』(産業編集センター)、『動物哲学物語 確かなリスの不確かさ』(集英社インターナショナル)、『太陽を掘り起こせ』(ポプラ社)など。サン=テグジュペリ『星の王子さま』(皓星社)はフランス語原作から全訳した。
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社会を編み直す読書会『「ふつう」じゃない話をしよう』
¥800
「ふつう」って一体なんだろう? 日常を取り巻く「ふつう」のおかしさを、読書会で扱った6冊の書籍と19のキーワードで紐解く。 生きづらい社会から抜け出すヒントを手探りする ZINE。 【目次】 京都ではじめた社会の話 グランドルール 第1章 差別を紐解く ―キム・ジヘ『差別はたいてい悪意のない人がする』 第2章 見えない傷を見るために ―『<寝た子>なんているの?』 第3章 いまある社会の基準を疑う ―チェ・スンボム『私は男でフェミニストです』 第4章 能力主義はフェアなのか? ―伊藤亜沙『目の見えない人は世界をどう見ているのか』 第5章 そのやさしさは誰のため? ―『思いがけず利他』 第6章 違ったままでともに生きる ―『わたしはわたし。あなたじゃない。』 番外 京都でできた「人権条例」 おわりに 索引 A5(210 x 148mm) / 78ページ / 再生紙を使用
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【サイン本予約】ひらりさ『まだまだ大人になれません』
¥1,760
※ 著者直筆サイン本です。11/10頃発送予定です。 仕事も恋も友情も大人になればうまくいく? 大人になるには練習が必要? 仕事、友情、恋愛、自分探し…未解決問題ばかりの毎日を乗り越えるためのメンタルリカバリーエッセイ 目次 Chapter1. 日々を生きのびる、息継ぎの技術 Chapter2. 30代、からだと付き合いなおす Chapter3. 生活を愛せなきゃ、自分も愛せない Chapter.4 小さな曲がり角が人生を作る ページ数:224 判型:四六判並製 【著者プロフィール】 ひらりさ(著) 平成元年、東京生まれ。女子校とボーイズラブで育った文筆家。オタク女子ユニット「劇団雌猫」のメンバーとして活動。オタク文化、BL、美意識、消費などに関するエッセイ、インタビュー、レビューなどを執筆する。単著に『沼で溺れてみたけれど』(講談社)、『それでも女をやっていく』(ワニブックス)など。
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小指『小指の沖縄冒険記』
¥990
【目次】 いしじゃゆんたく市場 コザへ 異次元を走るバス 呼ばれた人、呼ばれてない人 いざ、中の湯 神に導かれる 久高島へ 斎場御嶽 旅の完結 62ページ、A5
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小指『奇跡のような平凡な一日 2』
¥1,320
奇跡のような平凡な一日の第二巻。 過去の日記+エッセイ1編「学校の犬」 個人的にとってもおすすめです!(小指さん談) 文庫サイズ 116p
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浅生鴨『選ばない仕事選び』
¥990
仕事選びに正解なんてない。仕事に触れ、仕事とは何かを少しずつ知り、自分の好き嫌いや向き不向きを知っていく。 でも、何を選んでもたいして変わらない。それを知っていれば、急いで選ばなきゃと焦る必要もなくなるはず。 どれを選んでも、多分、だいじょうぶ。 将来のことなんて何も考えず、行き当たりばったりに生きてきて、仕事なんてやりたくないと今でも思いつつ、それでも何となく楽しく毎日を過ごしている僕自身について書こうと思う。 仕事や働き方について僕がどう考えているのかを、そして、これまでどんなふうに僕がいろいろな仕事と出会ってきたのかを、君に伝えてみようと思う。 もちろん僕だからこうなったわけで、君も同じようになるとは限らない。僕と君とは違う人生を歩んでいるわけだからね。 それに、なによりも、大人のアドバイスは真に受けちゃいけないからね。 目次 Ⅰ 仕事について考えてみよう 仕事なんてやりたくない 仕事が僕を選んでいる 仕事って何なのさ? 仕事と職業って違うもの? 仕事とは世界を変えるもの 仕事とお金は無関係 お金で仕事は変わらない 選択肢を増やす道具 仕事に選ばれたときに 仕事選びの要素を考えてみる ミニコラム 白い手帳の喜び Ⅱ どうやって仕事に出会うの? 好きを仕事にしなくていい 仕事選びを焦らなくていい やりがいは君のもの 仕事は人生の一要素 仕事選びに正解はない 作業と仕事 仕事は君だけのものじゃない 誰にでもできる仕事 仕事のことは後回しに 正解は探さなくていい ミニコラム 決め方を決める Ⅲ 働かなくても生きていける? 将来を決めすぎない 働くのは当たり前じゃない 働かないと、僕たちは孤独になる 社会的な生き物 大人は仕事を知らない 始めはうまくいかない やればやるほどうまくなる 仕事に似ているもの 選ばない幸せ、選ばない贅沢 判型:新書判 ページ数:192頁 【著作者プロフィール】 浅生 鴨(あそう・かも):作家、広告プランナー。1971年、神戸市生まれ。たいていのことは苦手。ゲーム、レコード、デザイン、広告、演劇、イベント、放送などさまざまな業界・職種を経た後、現在は執筆活動を中心に、広告やテレビ番組の企画・制作・演出などを手掛けている。主な著書に『伴走者』(講談社)、『どこでもない場所』、『ぼくらは嘘でつながっている。』(ダイヤモンド社)、『すべては一度きり』『たった二分の楽園』『三万年後に朝食を』『四メートルの過去』『五グラムの用心棒』(共に左右社)など。同人活動として『雨は五分後にやんで』『牛し本』などの展開も。座右の銘は「棚からぼた餅」。
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Chad Moore『At Amber』
¥19,800
約28 cm x 約17 cm ① タブロイド版16ページ ZINE (約56 cm × 約34 cm が4枚 半分に折られています。) ※さらにもう半分に折られてパックされています。 ② リソグラフ POSTER 付き(最後の赤い画像) 2015年11月15日からベルギーのアントワープで 開催の個展「AMBER」に際して製作されました。
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水野太貴『会話の0.2秒を言語学する』
¥1,760
会話で相手と交替するまで平均0.2秒。この一瞬にどんな高度な駆け引きや奇跡が起きているのか──言語学の歴史を大づかみに振り返りつつ、「食べログ」レビューからお笑いに日銀総裁の会見、人気漫画まで俎上に載せ、日常の言語学をわかりやすく伝える、待望の書き下ろし。なぜうまく話せないのか。悩んでしまうあなたの必読書! まえがき 日々繰り広げられる、0・1秒単位の競争 10分の激論を464ページで解説するように 言語漬けの青春 謎解きの鍵は「文脈」から 第一章 コミュニケーション上手になるための「語用論」 イギリスの裁判所を揺らした発言 大ポカした就職面接「会いたい人は?」 謎まみれの解釈メカニズム ことばとは、世界への働きかけである 「させていただく」を「食べログ」で研究する 「会話は協調して行なえ」グライスが説いたこと 福本伸行『アカギ』でわかる語用論 「それはそれ、これはこれ」がなぜ成立する? 芸人のボケを語用論してみる 発話の解釈を導き出すには? 発話の解釈はコスパで決まる コミュニケーションモデルは「暗号解読」から「推論」へ 文脈を科学する3つの知見 第二章 ことばには“奥行き”がある インドの新聞に躍った見出し「ドナルド・トランプの死」 言語学者が最も注目する「単語の並べ方」 天才ソシュールの言っていたすごいこと 未知の言語の記録に燃えるアメリカ構造主義言語学 引用ランキングトップで唯一存命。言語学者チョムスキーの仕事 難解なのにハマる人が多い「生成文法」 文は何からできている? 樹形図の上がる下がるに興奮する 文の理解には二次元的な情報が必要だ 視覚思考者(ビジュアル・シンカー)が教えてくれること 伝言ゲームにはノイズが入るもの 第三章 あなたは「ネコ」の意味さえ説明できない 君の言っているのとぼくの言うのとは意味が違うんだよ 意味の研究、難解すぎる 「見えないものは扱わない」学派もある 意味は要素を列挙してもわからない 指さしたらあとは「ネコ」の意味なんて知らない 難解で地味だけど重要な形式意味論 類似性を見つけてまとめるカテゴリー化 「言語は比喩でできている」認知意味論 僕たちは「時間」を比喩を通して理解している 日本語の単語の意味も考える 「近づく」と「近寄る」はどう違う? 検索エンジンの予測のように、頭に浮かぶことば 言語はコミュニケーションのツールの一つにすぎない 第四章 言語化の隠れた立役者たち 「なぜサッチャーはこうも頻繁に話を遮られるのか」論文 自殺予防センターで生まれた「会話分析」 雨粒が水面に落ちる過程 会話分析の研究者が最初に注目したこと 会話の順番交替は先読みできる 聞き手の沈黙時間を話し手はどうとらえるか 「はい」より「いいえ」の方が沈黙が長い 沈黙は重要な情報となる なぜリモート飲み会は定着しなかったのか まあ、あのー、そのー、こう、えーっと…… 「あのー」と「えーと」の違い 「うーん」はどんなときに使うか 僕たちがフィラーを口にするわけ 電話中についしているジェスチャーの正体 ジェスチャーを封じられるとフィラーが増える ことばとジェスチャー、どっちが先か あまりに鮮やかな実験 オノマトペは「言語化されたジェスチャー」 言語のサブ的要素が言語化に役立つ 僕らは日々ものすごいことをやっている 終 章 世界は広い! 驚きのコミュニケーション なんでそうなる? あの国この国 日本でも違う、東北と近畿 自閉スペクトラム症の子どもは津軽弁を話さない? コミュニケーションの「普通」って? 「彼女は海が好きだ」「彼女は海が好きだった」今も付き合ってるのは? 「ね」と「よ」の違いは難しすぎる 発話における「普通」を考える 発音時の自分の舌、唇、口の動き 自己紹介のたびに気が重くなる吃音当事者 たまたまできる発音という不思議 日本語話者の会話は世界的せっかち 会話の流暢さと能力主義の関係 言語学を学んでわかった、言語の限界 「自分と出会い直す」という希望 あとがき 発酵デザイナーとの散歩 いびつな本です。でも 壮大な問いに挑戦してみる 言語学に携わる方々に感謝を込めて 【後注】 もっと知りたくなった読者のための30冊 判型 四六判 頁数 240ページ 【著者プロフィール】 水野太貴 ミズノ・ダイキ 1995年生まれ。愛知県出身。名古屋大学文学部卒。専攻は言語学。出版社で編集者として勤務するかたわら、YouTube、Podcastチャンネル「ゆる言語学ラジオ」で話し手を務める。同チャンネルのYouTube登録者数は36万人超。著書に『復刻版 言語オタクが友だちに700日間語り続けて引きずり込んだ言語沼』(バリューブックス・パブリッシング)、『きょう、ゴリラをうえたよ 愉快で深いこどものいいまちがい集』(KADOKAWA)がある。 【書評】 最高の浅瀬弾丸ツアーみたいな本 堀元見 良質な知識エンタメには、必ず良い問いがある。 『会話の0.2秒を言語学する』はそれを改めて実感させてくれる本だ。 「会話のターンが切り替わるわずか0.2秒の間に、脳内で何が起きているのか」という問いは極めて分かりやすく魅力的で、読者を自然に言語学の世界にいざなってくれる。語用論だの統語論だの意味論だのという、門外漢からは何をやっているかすら分からない言語学のジャンルに次々に足を突っ込んだかと思ったら次々に離脱する。ひとつの問いを追いかけていくうちに、なんとなく色々なジャンルを浅く広く知れて得した気分になる。七つの海の浅瀬で遊び回る弾丸ツアーみたいな本だ。 著者の水野と僕はもう5年近く「ゆる言語学ラジオ」というYouTubeチャンネルをやっている。僕たちは昔からこういう「浅瀬弾丸ツアー」みたいなコンテンツが好きで、その共通点があったから、一緒に知識エンタメYouTubeを始めた。 世間ではゴチャゴチャにされがちだが、「教養系YouTube」と「知識エンタメYouTube」はまったく違うものである。前者は勉強のためにマジメに見るイメージで、そこには崇高な目標がある。VUCAの時代を生き抜く21世紀型人材になるために見ている人が多い。一方、後者はエンタメとしてゆるく見るイメージで、特に崇高な目標はない。VUCAの時代を生き抜くためにではなく、おもしろいから見ている人が多い。僕たちは後者の方が好きだったので、後者として始めた。 知識エンタメに必要なのは、魅力的な問いだ。問いがしょぼいとエンタメとして成立しない。「語用論とは何か?」ではダメだ。ほとんどの人が気にならない問いでは、エンタメにならない。 本書の問い「会話のターンが切り替わるわずか0.2秒の間に、脳内で何が起きているのか」は、世界中の人に関係があり、言われてみると誰もが気になる魅力的なものだ。そして、徹頭徹尾この問いに沿って議論が展開されるので、各ジャンルの浅瀬にしか立ち入らない。「語用論の全体像」みたいなものを深く理解する必要がなく、問いに関係ありそうな知見だけを浅く拾っていく。これがありがたい。 「網羅的である」というのは専門書においては良いことだが、知識エンタメにおいては悪いことだ。「A氏が提案した7個の法則」みたいなのが出てきたとき、全部を丁寧に解説されると僕は飽きてしまう。「おもしろい法則だけ教えてほしいな。ひとつかふたつでいいから」と思ってしまうのだ。勉強したいのではなくおもしろがりたいだけの人間はとかく不真面目である。全容など知りたくないので、とにかくおもしろいところだけ見せてほしい。本書は、そんな下世話なニーズを満たしてくれる。 水野は、浅瀬弾丸ツアーを率いるのに最適なツアーコンダクターだ。彼は「会話の0.2秒」を軸にして、正しくルートを設計してくれた。立ち寄るスポットを過不足なく選定し、それぞれのスポットでの正しい観光ガイドもつけてくれた。「英国の元首相サッチャーはやたらとインタビュアーに会話を遮られる。それは彼女のイントネーションのせいだった」のように、興味深い具体例から自然とその海に入れるようになっている。彼の観光ガイドのお陰で、浅瀬にしか入っていないのに、その海の楽しさは十分理解できる。弾丸ツアーだからこそ、コンダクターの腕が問われるのだ。 そして、彼に連れ回されるままに色々な海を見ていくと、なんとなく世界全体の見取り図ができ、自分なりの感想が湧いてくるだろう。「会話ができているの、奇跡だな」と素直に思うかもしれないし、「この会話の仕組みをハックすれば営業成績を上げられる」と思うかもしれない。豊富な参考文献が収録されているので、気になる海があればもっと深く入ってみてもいいだろう。ツアー旅行で満足した後は、自分なりの旅を設計すればいい。ちなみに僕は大学でコンピュータサイエンスをやっていたので、「俺もコンピュータを題材に同じ本を書けるな。Amazonの購入ボタンをクリックしてからの0.2秒で何が起きているか、という本を書こうかな」と次作の構想を膨らませてしまった。そういう刺激に満ちた本である。 ところで、水野と飲んでいると「人間的な深みがほしい。俺の人生は浅すぎる」とよく言っている。彼は浅瀬弾丸ツアーを極めすぎて、人生においても浅瀬から出られないらしい。彼が人生の深みを犠牲にして書き上げた至極の浅瀬弾丸ツアー本を、あなたもぜひ手にとってみてはいかがだろうか。 (ほりもと・けん) 波 2025年9月号より 単行本刊行時掲載
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赤峰幸生『赤峰幸生の流儀』
¥2,420
■赤峰幸生がスタイルと暮らし方、生き方の流儀を綴る 1960 年代から紳士服業界の第一線で活躍し続け、いくつもの伝説的なブランドやムーブメントを産み出してきた、ファッションディレクターにして服飾文化研究家、赤峰幸生。近年は緑豊かな郊外にアトリエ「めだか荘」を構え、次世代に向けてその哲学を発信。SNS などを通して、日本のみならず欧米の若者たちからも絶大な尊敬を集めています。本書は、そんな赤峰幸生のスタイルブックにして暮らしの教科書です。 過去に朝日新聞 be で連載されていた『男の粋を極める 装い歳時記』を中心としたエッセイの再録に加え、 衣食住におけるレジェンドたちとの豪華対談、そして赤峰幸生にとっての〝聖地〟日本民藝館の探訪記事など、盛りだくさんのコンテンツを凝縮。 トレンドに流されない、装いとライフスタイルの極意を学びたい方は必見の一冊です。 ■収録内容 ダシの効いた男になるために 春 夏 秋 冬 コラム 「手土産」の流儀 「和の暦」を暮らしに 取り入れてみませんか? 健康であるために ごはんを土鍋で炊いてみろ 赤峰流装い講座 ①「男の三原色」を極めよ ②お洒落のヒントは街にある ③ミルクティーからセンスを盗め ④夏も化繊に頼らない ⑤ Vゾーンの基本は同系色にあり ⑥装いの〆は靴下だ ⑦一生愛せる生地 ⑧普段のスーツをフォーマルに装う方法 赤峰幸生「住」の聖地 日本民藝館・柳宗悦先生との心の対話 赤峰幸生「食」の聖地 神田まつやでそばを手繰る 赤峰なんでもベスト 仕様:B5変(天地216mm×左右166mm)/並製/128ページ ■著者プロフィール 赤峰 幸生 ファッションディレクター/デザイナー/服飾史研究家 1944 年東京都目黒区生まれ。桑沢デザイン研究所を卒業後、Chipp や WAY-OUT、グレンオ ーヴァーといったトラッドブランドの企画、デザインを手掛ける。1990 年には自身の会社 インコントロを設立し、海外ブランドの販売代行やセレクトショップのコンサルティング、 イタリアンレストランの監修まで幅広い分野で活躍。近年はカスタムクロージングブラン ド「Akamine Royal Line」を軸に、クラシックな衣食住の文化を次世代に伝えている。
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『今、何かを表そうとしている10人の日本と韓国の若手対談』
¥2,420
国際交流基金ソウル日本文化センター・韓国国際交流財団東京事務所・クオンの共催で、2015年から3年間にわたって行われたプロジェクト「日韓若手文化人対話―ともに語り、考えを分かち合う」。 アート、演劇、映像、建築、文学… 各分野で「今、何かを表そうとしている人」、5組10人が出会い、語り、問いかけ、考えを分かち合った対談の様子と、対談前後に交わした手紙をあわせて収録。 目次 第1章 西川美和(映画監督)× ムン・ソリ(女優/映画監督) 第2章 寄藤文平(グラフィックデザイナー)×キム・ジュンヒョク(小説家) 第3章 光嶋裕介(建築家)×アン・ギヒョン(建築家) 第4章 朝井リョウ(小説家)×チョン・セラン(小説家) 第5章 岡田利規(演劇作家)×キ・スルギ(アーティスト) プロフィール 版元から一言 この本は、国際交流基金ソウル日本文化センター・韓国国際交流財団東京事務所・クオンの共催で、日韓国交正常化 50周年にあたる 2015年から 3年間にわたって行われたプロジェクト「日韓若手文化人対話―ともに語り、考えを分かち合う」を記録したものです。 日韓で活躍する20代から 40代前半までの文化人 5 組の対談が、日本と韓国で1回ずつ、計10回行われました。 「今、何かを表そうとしている」人々が向かい合って語り、手紙に載せて届けた思いを、この本を手に取ってくださった皆さんと分かち合うことができればと願っています。 四六判 並製
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ハン・ガン『少年が来る』
¥2,750
1980 年5月18 日、韓国全羅南道の光州を中心として起きた民主化抗争、光州事件。戒厳軍の武力鎮圧によって5月27日に終息するまでに、夥しい数の活動家や学生や市民が犠牲になった。抗争で命を落とした者がその時何を想い、生存者や家族は事件後どんな生を余儀なくされたのか。その一人一人の生を深く見つめ描き出すことで、「韓国の地方で起きた過去の話」ではなく、時間や地域を越えた鎮魂の物語となっている。 目次 もくじ 一章 幼い鳥 二章 黒い吐息 三章 七つのビンタ 四章 鉄と血 五章 夜の瞳 六章 花が咲いている方に エピローグ 雪に覆われたランプ 訳者あとがき 前書きなど 光州事件から約三十五年。あのとき、生を閉じた者の身に何が起きたのか。生き残った者は、あれからどうやって生きてきたのか。未来を奪われた者は何を思い、子どもを失った母親はどんな生を余儀なくされたのか。三十年以上の月日を経て、初めて見えてくるものがある――。丹念な取材のもと、死者と生き残った者の声にならない声を丁寧に掬いとった衝撃作。『菜食主義者』でマン・ブッカー賞国際賞に輝いた、著者渾身の物語。 版元から一言 『菜食主義者』でマン・ブッカー賞国際賞に輝いたハン・ガンの邦訳第2作です。 四六判 縦185mm 横130mm 厚さ195mm 280ページ 並製 【著者プロフィール】 ハン・ガン (ハン ガン) (著) 1970年韓国・光州生まれ。延世大学国文学科を卒業。 1993年季刊「文学と社会」に詩が、翌年ソウル新聞の新春文芸に短編小説「赤い碇」が当選し文壇にデビューした。 現在、ソウル芸術大学の文芸創作科教授。 『菜食主義者』で、韓国で最も権威ある文学賞、李箱文学賞を受賞、また2016年国際的に権威ある文学賞の1つマン・ブッカー賞国際賞を受賞。その他の作品に、短編集『麗水の愛』『私の女の実』、長編小説『黒い鹿』『あなたの冷たい手』『風が吹いている、行け』、散文集に『そっと静かに歌う歌』『愛と、愛を取りまくもの』などがある。 小説のほかに、絵本『雷小僧、天女稲妻、小僧天女』、大人のための童話『涙の箱』『わたしの名前は太陽花』などがあり、童話の翻訳も多数手がけている。韓国小説文学賞、今日の若い芸術家賞、東里文学賞など受賞多数。 井手 俊作 (イデ シュンサク) (訳) 1948年、福岡県生まれ。 1974年、早稲田大学政治経済学部卒。 新聞社勤務を経て2009年に韓国文学作品の翻訳を始める。 訳書に崔仁浩の小説集『他人の部屋』と小説『夢遊桃源図』。
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ハン・ガン『菜食主義者』
¥2,420
「新しい韓国文学シリーズ」第1作としてお届けするのは、韓国で最も権威ある文学賞といわれている李箱(イ・サン)文学賞を受賞した女性作家、ハン・ガンの『菜食主義者』。韓国国内では、「これまでハン・ガンが一貫して描いてきた欲望、死、存在論などの問題が、この作品に凝縮され、見事に開花した」と高い評価を得た、ハン・ガンの代表作です。 ごく平凡な女だったはずの妻・ヨンヘが、ある日突然、肉食を拒否し、日に日にやせ細っていく姿を見つめる夫(「菜食主義者」)、妻の妹・ヨンヘを芸術的・性的対象として狂おしいほど求め、あるイメージの虜となってゆく姉の夫(「蒙古斑」)、変わり果てた妹、家を去った夫、幼い息子……脆くも崩れ始めた日常の中で、もがきながら進もうとする姉・インへ(「木の花火」)― 3人の目を通して語られる連作小説集。 四六判 304ページ 【著者プロフィール】 ハン・ガン (ハンガン) (著) 1970年韓国・光州生まれ。 延世大学国文学科を卒業。 1993年季刊「文学と社会」に詩が、翌年ソウル新聞の新春文芸に短編小説「赤い碇」が当選し文壇にデビューした。 現在、ソウル芸術大学の文芸創作科教授。 本作『菜食主義者』で、韓国で最も権威ある文学賞、李箱文学賞を受賞。その他の作品に、短編集『麗水の愛』『私の女の実』、長編小説『黒い鹿』『あなたの冷たい手』『風が吹いている、行け』、散文集に『そっと静かに歌う歌』『愛と、愛を取りまくもの』などがある。 小説のほかに、絵本『雷小僧、天女稲妻、小僧天女』、大人のための童話『涙の箱』『わたしの名前は太陽花』などがあり、童話の翻訳も多数手がけている。韓国小説文学賞、今日の若い芸術家賞、東里文学賞など受賞多数。 きむ ふな (キムフナ) (訳) 韓国生まれ。 韓国の誠信女子大学、同大学院を卒業し、専修大学日本文学科で博士号を取得。現在は日韓の文学作品の紹介と翻訳に携わっている。 翻訳書に、津島佑子・申京淑の往復書簡『山のある家、井戸のある家』(集英社)、孔枝泳『愛のあとにくるもの』(幻冬舎)、 李垠『 美術館の鼠』(講談社)、『いまは静かな時‐韓国現代文学選集』(共訳、トランスビュー)など。韓国語訳書に津島佑子『笑いオオカミ』(第1回板雨翻訳賞)など、著書に『在日朝鮮人女性文学論』(作品社)がある。
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『別冊 中くらいの友だち 韓国の味』
¥1,650
韓国を語らい・味わい・楽しむ雑誌『中くらいの友だち』。長年韓国とかかわってきた人々が、詩、エッセイ、翻訳、街歩き、韓国伝統食や韓国ロックなど、ユニークな視点で韓国を綴ってきました。 ファンに惜しまれつつ2023年に最終号が刊行されましたが、別冊として復活! 今回は「韓国の味」をテーマに、豪華執筆陣がさまざまな思い出や経験について綴ります。巻頭カラーで豊富な写真も掲載。 目次 韓国の味 食とはつまるところ記憶である すべては醬から始まった/きむ・すひゃん ヤン監督宅の元気が出る食卓/荒井カオル 飯はわかちあうもの 韓国の学校給食 完全無償化の思想/伊東順子 韓国ハンバーガーの軌跡 米軍基地からローカル市場まで/大瀬留美子 水料理の全州とドジョウの南原、春香タワーは食後景/清水博之 発酵する韓国ロック 我がバンド“コプチャンチョンゴル”の味/佐藤行衛 食と文学 グルメ小説としての『火山島』/四方田犬彦 松の実/斎藤真理子 全州名物タッペギクッと大邱の自慢テグタンバン 雑誌『別乾坤』から/八田靖史 食とはつまるところ記憶である スッポンの涙/カン・バンファ 済州島の夏の味 きゅうりの冷やし汁/李 銀子 シッケとハンメと北のクナボジ/宋 毅 在日の「味」と「匂い」と記憶/金 誠 ハルモニのキムチ/ゆうき 90年代の味はチキンだ/すんみ 韓国料理の記憶を辿る/中沢けい ハルモニのおことづけ/金 惠貞 「おにぎり」と「雙和湯」/金 利惠 南家の食卓/南 椌椌 A5判並製 144ページ
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イ・サン編『書かずにいられない味がある』
¥2,200
〈食〉は暮らしと文化の生命線 プルコギや冷麺がソウルで日常的に食べられるようになったのは、 今からたった約百年前のこと。 地方や海外の味が流入し、外食店が増え、 朝鮮半島の食文化が大きく変貌していった時代でもある。 当時の人々のいのちをつなぎ、生活を彩った〈食〉の数々が、 作家や記者らの筆によって臨場感をもって描かれる――。 どこから読んでも味のある、小説、エッセイ、ルポルタージュ40選。 ●訳者解説より すべての作品に共通する内容として、人々の食にかけるひたむきな姿勢があげられる。植民地下の厳しく、貧しかった時代、食べることは生きることと同義であった。大衆居酒屋でマッコリをあおる姿も、水っぽく薄い粟粥を懸命にすする姿も、病気の妻にソルロンタンを買って帰るため必死に働く姿も、日々を懸命に生きる人たちのリアルな日常である。そこには飽食の時代にあって、ついつい忘れがちな食への原初的な情熱が込められており、読めば読むほどに調理技術を超えた「味わい」が伝わってくる。 訳者としての立場ではあるが、一読者としても満腹度の高い一冊であった。 ――コリアン・フード・コラムニスト 八田靖史 目次 はじめに 第1部 春は明月館の交子料理にあり カレイ、ロバ/白石 柳京食譜/李孝石 明太/蔡萬植 エジョチム/蔡萬植 夏の味覚/桂鎔黙 スイカ/崔曙海 マクワウリ/薄田斬雲 青ブドウの思想/李孝石 山菜/蔡萬植 幽霊の鍾路/李泰俊 春を待つ気持ち/金尚鎔 愛酒記/金岸曙 店頭の牛頭骨/薄田斬雲 外国で思い出した朝鮮のもの/李晶燮 麵/白石 海苔/具本雄 第2部 食は小説になる サンジョク/蔡萬植 冷麵/金浪雲 カルビをかじる犬/尹白南 餅/金裕貞 十月に咲くリンゴの花/李孝石 運のよい日/玄鎮健 第3部 チュタン店の下働きとして チュタン店の下働きとして二日間の住み込み/B記者 冷麵配達夫に扮した記者 秘密家庭探訪記/夜光生 朝鮮料理店の始祖明月館 明月館と食道園の料理戦争 富豪の食事と極貧者の食事 菓子屋の人気がある理由 男女の恋愛のおかげ/京城探報軍 ピンス/方定煥 第4部 八道名物飲食礼賛 珍品中の珍品 神仙炉/牛歩生 全州名物 タッぺギクッ/多佳亭人 忠清道名物 鎮川メミルムク/朴瓚煕 慶尚道名物 晋州ビビンバ/飛鳳山人 無視するべからず ソウルのソルロンタン/牛耳生 天下の珍味 開城ピョンス/秦学圃 愛の餅、風流の餅 延白インジョルミ/長寿山人 四季の名物 平壌冷麵/金昭姐 大邱の自慢 大邱湯飯/達城人 京城名物料理 京城名物 野菜と果物 筆者紹介 訳者解説 四六判 244ページ 並製 【著者プロフィール】 イ・サン(李相) (イサン) (編) 編者:イ・サン(李相) 韓国の中央大学で歴史を、弘益大学大学院で文化芸術経営を学ぶ。 文筆・出版活動の傍ら、ヘイリ芸術村事務局の責任者ならびに坡州ブックソリの運営責任者を務めた。 著書に『世界芸術村は何で生きるのか』『世界の本祭り』『李舜臣、昔の絵で読む』ほか、翻訳書に鈴木常勝『大路─朝鮮人の上海電影皇帝』、Gifford, Eli“How Can One Sell the Air?”など。 2020年に韓国出版評論賞を受賞。 八田靖史 (ハッタヤスシ) (訳) 訳者:八田靖史 コリアン・フード・コラムニスト。 慶尚北道、および慶尚北道栄州(ヨンジュ)市広報大使。ハングル能力検定協会理事。 1999年より韓国に留学し、韓国料理の魅力にどっぷりとハマる。韓国料理の魅力を伝えるべく、2001年より雑誌、新聞、WEBで執筆活動を開始。トークイベントや講演のほか、企 業向けのアドバイザー、韓国グルメツアーのプロデュースも行う。 著書に『韓国行ったらこれ食べよう!』(誠文堂新光社)、『あの名シーンを食べる! 韓国ドラマ食堂』(イースト・プレス)、『目からウロコのハングル練習帳 改訂版』(学研プラス)ほか多数。 電子書籍『韓食生活BOOK』シリーズを不定期で刊行。 韓国料理が生活の一部になった人のためのウェブサイト「韓食生活」(https://www.kansyoku-life.com/)、YouTube「八田靖史の韓食動画」を運営。
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【古書】『工芸青花』5号
¥15,400
※ 古書ですが新品同様です。 『工芸青花』5号 目次 Contents 1 板と私 My Favourite Boards ・板極道の入口で 小澤實 ・歴史の形見 青井義夫 ・漆喰とバスク 内田鋼一 ・朝鮮の餅板 大塚潔 ・奈良古材 川瀬敏郎 ・茶の敷板 木村宗慎 ・謙虚さ 坂田和實 ・長い床の間 高木孝 ・板切れの美 吉田昌太郎 2 小川待子 やきものと言葉以前 Machiko Ogawa: Ceramics and the World Before Language Existed ・踏みだす人 井出幸亮 3 鑑賞陶器のはじまりと本 The Beginning of Appreciative Ceramics and their Catalogues ・繭山龍泉堂訪問記 森岡督行 ・大正の新風 川島公之 ・作品解説 川島公之 4 意中の美術館 Museums on My Mind ・アカデミア美術館の巻 中村好文 5 うつわのはじまり The Origin of Utsuwa ・東北古椀 赤木明登 精華抄 ■2016年4月30日刊 ■A4判|麻布張り上製本|見返し和紙(楮紙) ■カラー168頁|インドの古布カンタを貼付したページあり
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【サイン本】石川直樹『最後の山』
¥2,420
※ 著者直筆サイン本です。 23歳でエベレストを登頂して以来20年余。世界で最も高く危険な山々への挑戦はついに「最後の山」シシャパンマへ。人間を拒む「デスゾーン」でぼくが見たのは、偉大で過酷な自然の力と、我々はなぜ山に登るのかという問いへの答えだった──中判カメラを携え、人類の限界を超えようとする仲間たちと共に登った生の軌跡。 【目次】 プロローグ 第一章 新世代シェルパ ガッシャブルムII峰+ダウラギリ 第二章 間違ったルート カンチェンジュンガ 第三章 執念の山 K2+ブロードピーク 第四章 真の頂上とは マナスル 第五章 悲痛な報せ アンナプルナ 第六章 楽園と地獄 ナンガパルバット+ガッシャブルムI峰 第七章 白い闇 チョオユー 第八章 二つの雪崩 シシャパンマ 第九章 生還者 第十章 最後の山 シシャパンマふたたび エピローグ 判型:四六判変型 頁数:272ページ 装幀:yukino kayahara/カバーイラスト、新潮社装幀室/装幀
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【古書】『建築のことばを探す 多木浩二の建築写真』
¥18,700
※ 古書ですが未開封新品同様です。 多木浩二初写真集『建築のことばを探す 多木浩二の建築写真』。 本書は、故・多木浩二(1928~2011)が1968年から1979年に撮影した個人住宅17軒、124点の写真が収録。被写体の建築家は、篠原一男(1925~2006)、坂本一成(1943~)、伊東豊雄(1941~)、白澤宏規(1943~)で、それぞれの建築家が生前の多木から預かったというフィルムおよびプリントを複写した。本書編者のアーティスト・飯沼珠実が、本書刊行までにみつけた多木の建築写真は12,000コマを数え、収録写真の半数以上が、撮影から50年前後のときを経て、本書において初めて発表される。 写真は被写体の竣工年順に並べられ、建築作品の基本情報に加え、本書デザイナー・高室湧人が描きおこした図面に、多木の撮影地点をプロットした資料が添えられる。さらに二本のテキスト、多木が篠山紀信写真集『家 Meaning of the House』(潮出版・1975)に寄せた19編のエッセイのひとつ「家のことば」と、文化人類学者・今福龍太の書き下ろし「家々は海深く消え去りぬ 多木浩二の『反-建築写真』」も収録。 303mm×207mm/256ページ
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宮尾茂雄『「漬物の力」はなぜスゴイ?』
¥1,760
農学博士で漬物研究の第一人者の著者が、その塩分問題をはじめ消費者の長い間の疑問に対して最新の知見をもとに分かりやすく解説した。 序章「『漬物は塩分過多』ってホント?」から「知られざる漬物の健康パワー」「知って得する漬物の豆知識」まで5章構成。漬物について詳しく知りたい人に役立つ一冊。 四六判並製、本文192ページ
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【サイン本】石川直樹『シシャパンマ』
¥13,200
※ 著者直筆サイン本です。 2024年、8000m峰全14座登頂を果たした石川。最後に登った8000m峰シシャパンマの、山麓から登頂までの様子を活写。 判型・ページ数:その他・規格外 160ページ
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鈴木智彦 『サカナとヤクザ』
¥979
食べてるあなたも共犯者!決死の潜入ルポ アワビ、ウナギ、ウニ、サケ、ナマコ……・「高級魚(サカナ)を食べると暴力団(ヤクザ)が儲かる」という食品業界最大のタブーを暴く。 築地市場から密漁団まで5年に及ぶ潜入ルポは刊行時、大きな反響を呼んだが、このたび文庫化にあたって「サカナとヤクザ」の歴史と現状を追加取材。新章「“魚河岸の守護神”佃政の数奇な人生」「密漁社会のマラドーナは生きていた」を書き下ろした。 推薦文は『闇金ウシジマくん』『九条の大罪』の漫画家・真鍋昌平氏、文庫解説は『モテキ』『バクマン』の映画監督・大根仁氏。 本作はノンフィクションのジャンルを超え、日本のエンタメ最前線を走る人たちから絶賛されている。 真鍋昌平(漫画家) 「人の欲望は止まらない。 ルールがあれば反則勝ちした 犯罪者がぼろ儲け。 知らないうちに自分自身が 密漁者の共犯者。 高級寿司の時価の舞台裏を 犯罪集団に 笑顔に拳は当たらない処世術で 5年間も潜入取材して 伝えてくれた勇気に泣けてくる」 〈 編集者からのおすすめ情報 〉 18年10月11日、豊洲市場の開場当日に刊行された本書をきっかけに、密漁は社会問題として認知されるようになりました。しかし、この本の真価はそこにはありません。事実に基づくという制約があるはずのノンフィクションが、これほどまでにワクワクした楽しい読み物になり得るという可能性を示したことこそ、文庫化まで10年に及ぶ長期取材によって著者が得た最大の成果です。 〈 目次〉 第一章 宮城・岩手 三陸アワビ密漁団VS海保の頂上作戦 第二章 東京 築地市場に潜入労働4ヶ月 第三章 北海道 “黒いダイヤ”ナマコ密漁バブル 第四章 千葉 暴力の港・銚子の支配者、高寅 第五章 再び北海道 東西冷戦に翻弄されたカニの戦後史 第六章 九州・台湾・香港 追跡!ウナギ国際密輸シンジケート 新章一 再び東京 “魚河岸の守護神”佃政の数奇な人生 新章二 三たび北海道 密漁社会のマラドーナは生きていた
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鈴木智彦『ヤクザときどきピアノ 増補版』
¥880
人生いくつになっても、やるか、やらないか、だ。 50代ピアノ初心者のヤクザライターが音楽教室に通ったら、こんな出会いが待っていた! 潜入ルポで知られるライターが新たに踏み込んだのはピアノ教室だった。 とはいえ、闇をあばくわけでなく、52歳にして、純粋に楽器を習い始める。 「練習すれば、弾けない曲などありません」というレイコ先生とのレッスン。 たちはだかるABBA『ダンシングクイーン』。 動け俺の10本の指。 発表会の結末は……。 ピアノには人生を変える力がある。あなたにとってのピアノを探せ! 解説 通崎睦美 心に燻る火があるなら、躊躇なく牢から脱獄すればいい。歳を取っているなら好都合だ。喜びを味わう感度は、手持ち時間の少なさに比例して増大する。初体験の感動は若いときより大きいだろう。ビギナーだから世界が矮小で、成果が小さいわけでもない。いつもの散歩道にある自然だって、一生かけても味わい尽くせないほど変化する。初心者用の教則本の中にだって、音楽家たちが見つけた宝石のような美しさがぎっしりと詰まっている。――〈増補より〉 【目次】 まえがき Prelude シネマでABBAが流れたら――ライターズ・ハイの涙 Op.1 グランド・ピアノと九ミリ弾――レイコ先生との出会い Op.2 ロール・オーバー・ベートーヴェン――初めて曲を弾く Op.3 憎しみと? 愛のテーマ――マイ・ピアノを買う Op.4 仁義なきピアノ史――ファミリーの系譜 Op.5 よい集中!!――予習、復習、ひたすら練習 Op.6 強く弾きたいと思うこと――ABBA――ときどき抗争 Postlud トイ、トイ、トイ ― 舞台ソデの魔法 あとがき 増補 団地の子とホームパーティー――自分を見直すレッスン 判型:文庫判 ページ数:224頁
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サン・テグジュペリ著、管啓次郎訳『星の王子さま』
¥638
本当の「王子」に出会える、新訳決定版!! 砂漠のまっただ中に不時着した飛行士の前に現れた不思議な金髪の少年。少年の話から、彼の存在の神秘が次第に明らかに……生きる意味を問いかける永遠の名作、斬新な新訳で登場。 判型:文庫判/160ページ
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頭木弘樹『痛いところから見えるもの』
¥1,870
痛いのは疲れる、そして孤独だ―― 痛みは人を孤絶させる壁。が、そこに岩清水のように滴る言葉があった。 ――鷲田清一(哲学者) ユーモラスで、しみじみせつない、はじめてみる光。 ――伊藤亜紗(美学者) 潰瘍性大腸炎から腸閉塞まで――壊れたからこそ見えるものがある。 絶望的な痛みと共に生きてきた著者がゆく〝文学の言葉〟という地平 ・水を飲んでも詰まる〝出せない〟腸閉塞のつらさ ・痛みでお粥さえ口に〝入れられない〟せつなさ ・オノマトペ、比喩……痛みを「身体で語る」すすめ ・女性の痛みが社会的に「軽視」されてきた理由 ・カントの勘違い、ニーチェの〝苦痛の効用〟…etc. なぜ痛みは人に伝わりづらいのだろう? 「痛い人」と「痛い人のそばにいる人」をつなぐ、かつてなかった本