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映画監督 三隅研次

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『映画監督 三隅研次』密やかな革新
吉田広明

四六判、432ページ

市川雷蔵の「眠狂四郎」、勝新太郎の「座頭市」、若山富三郎の「子連れ狼」を演出した大映時代劇の名匠・三隅研次。
スタジオシステムに鍛えられた確かな演出力を持つ職人でありつつ、進取の気性に富んだ映画作家。
その全体像を初めて明らかにする、画期的書き下ろし長編評論!
詳細なフィルモグラフィー付。

三隅が単なる職人にとどまらないこと、つまり確かに「映画作家」でもあることを本書は明らかにしようとするものだ。しかも、三隅が映画作家であることは、作品内で語られる「思想」以上に、その「表現」に表れている。三隅が細心の注意を払った編集、そして構図、人物造形やその配置といった表現は、職人的な技量の卓越を示すばかりではない。そこには、映画という表現の条件そのものへの問いがある。映画だからこそできるその可能性、映画だからこそできないその制限。三隅はフィルムで撮られる映画というものの持つ条件に意識的であり、その条件の限界を際立たせることで、あるいはその限界をこそ可能性として生かすことで、映画そのものについて思考したのであり、その意味で作家と呼んでしかるべき存在だと本書は考える。(「まえがき」より)

目次
まえがき

第一章 三隅研次の位置と処女作 初期三隅その一
戦前の日活入社/大映、助監督時代/当時の時代劇/丹下左膳/『丹下左膳 こけ猿の壺』

第二章 三隅が三隅になるまで 初期三隅その二
『七つの顔の銀次』/『浅太郎鴉』/『花の兄弟』/『編笠権八』

第三章 自己確立と自己拡張の時期 中期三隅その一
『桃太郎侍』/『怪猫呪いの壁』、『四谷怪談』、『銭形平次捕物控 美人鮫』/『執念の蛇』/『水戸黄門漫遊記』、『かげろう笠』/『千羽鶴秘帖』、『町奉行日記 鉄火牡丹』/『千姫御殿』、『白子屋駒子』

第四章 決定的な年、六二年 中期三隅その二
『大菩薩峠』、『大菩薩峠 竜神の巻』/『釈迦』/『婦系図』/『座頭市物語』/『斬る』/『青葉城の鬼』

第五章 剣三部作まで 盛期三隅その一
『新選組始末記』、『舞妓と暗殺者』/『女系家族』/『眠狂四郎勝負』/『剣』/『無宿者』、『座頭市血笑旅』/『眠狂四郎炎情剣』/『鼠小僧次郎吉』/『無法松の一生』/『剣鬼』

第六章 大映倒産まで 盛期三隅その二
『座頭市地獄旅』/『処女が見た』、『雪の喪章』/『眠狂四郎無頼剣』/『古都憂愁 姉いもうと』、『なみだ川』/『座頭市血煙り街道』/『とむらい師たち』/『二匹の用心棒』、『尻啖え孫市』/『座頭市喧嘩太鼓』、『鬼の棲む館』、『座頭市あばれ火祭り』/『兇状流れドス』、『新女賭博師 壺ぐれ肌』/『狐のくれた赤ん坊』

第七章 孤と分身 三隅研次における人物像
孤であること/分身/この世ならざる場所/モンタージュ/分身=対峙の回避/分身と孤/つながり損ね/作品同士の分身関係/作品同士の分身関係(「剣三部作」の場合)/分身、リメイク、シリーズ

第八章 三隅的「外」 三隅研次における空間
森、水辺/三隅的「外」/音声とイメージの分離/在と不在/構図/平面性/編集/感情表現のモンタージュ/モンタージュ、任意なるもの/三隅的「外」──映画的条件

第九章 受動から能動へ 反時代=普遍としての三隅映画
三隅的主人公の「正しさ」/反=反権力/受動性から能動性へ

第十章 新たな表現へ向かって 大映以後
『子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる』/『子連れ狼 三途の川の乳母車』/『子連れ狼 死に風に向う乳母車』/『御用牙』/『桜の代紋』/『子連れ狼 冥府魔道』/『狼よ落日を斬れ 風雲/激情/怒濤篇』/TV作品解説/大映以後の三隅

三隅研次フィルモグラフィー
あとがき

吉田広明(ヨシダヒロアキ)
1964年生まれ。映画評論家。著書に、『西部劇論──その誕生から終焉まで』、『亡命者たちのハリウッド──歴史と映画史の結節点』、『B 級ノワール論──ハリウッド転換期の巨匠たち』(以上作品社)、『ジム・ジャームッシュ』、『ヴィム・ヴェンダース』、『サム・ペキンパー』、『ジャン・ユスターシュ』、『映画監督の未映像化プロジェクト』(以上共著、エスクァイア マガジン ジャパン)、ジム・トンプスン、黒原敏行訳『犯罪者』(解説、文遊社)など。

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