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特装版『Water』| 坂口恭平

¥11,000 税込

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特装版『Water』
坂口恭平
※10月下旬発送です。

B5判上製(布張り)
※仕様変更のお知らせ
 B5判型変型上製(布張り)ではなく、「函入り・B5判変型上製(PP加工)」となります。
 なお、内容は通常版と同じで、価格・特典内容には変更ございません。
276ページ(予定)

※特典
1. A2ポスター
2. トートバッグ

自殺者をなくすためにはじめた「いのっちの電話」活動や、執筆、美術、音楽などの多岐にわたる活動を続けてきた坂口さん。
2020年4月にパステル画を描きはじめ、いまやパステルはライフワークになりつつあります。
今回は前作の『Pastel』につづいて、2020年秋冬から2021年夏までの最新作品200作品以上を収録。本作『Water』では、判型を変更、ページ数も大幅に増やし、イメージを一新しました。
光と陰、抽象と具象、風景と静物が入り混じる、坂口さんの変化の記録をとらえたパステル画集です。

活動拠点である熊本の自然、畑へと向かう道、江津湖、有明海、そして光と影、色彩、温度、空気……世界を徹底的に観察して描き切ったパステル画は、SNSで発表されるやいなや大きな話題を呼び、個展のチケットは即完売、各界の著名人からも注目が集まりました。

僕は空の見方が変わった。それは今日の天気、ではなく、光の動き、水の動き、風の動きで、畑と僕と直結していた。僕は光と水と風も流れている、という当たり前のことに気づいて、彼らも窮屈ではないように生きていたことに気づいた。面白く感じると、すぐに僕は飲み込みが抜群に早くなる、良くなる。風景が風景ではなく、光、水、風という気象と、植物や建築とが変化しつつ戯れている様子に見えてきた。その中で格別な時がある。それを僕はパステルで描くようになった。
 だからこの絵は僕の表現ではない、という感覚がある。畑と同じだ。だから、毎日止まらない。僕の表現として、どうすればいいかなんか迷わない。とにかく気象に植物に建築に、それらの戯れに忠実にするだけだ。だから、毎日描くことが止まらない。元々下手だったけど、下手なのは当たり前だ。僕は誰にも絵を習っていないんだから。でもそのことに躊躇せずに、僕は描きたいように描く。無能なんだから、毎日描くよ。少しは上手くなっていたら嬉しい。死ぬまで描きたいと思っているから、90歳で死ぬとして、窮屈さから抜け出したんだから、それくらいはきっと生きているはず。あと50年くらい、このパステル画を続けられる。それは面白いことじゃないか。上手いとか下手とか芸術だとか食っていけるとか、そんなことを平気な顔して飛び越えていく。僕は自分で生き方を見つけ出したと思った。その意味では僕は病気によって研究を始めたので、躁鬱病に感謝だ。そして、さようなら。そして、畑に感謝だ。パステルに感謝だ。気象にも感謝を。
ーー本書収録エッセイ 坂口恭平「死ぬまで毎日描き続ける」より

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