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壁の前でうたをうたう

¥1,320 税込

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『壁の前でうたをうたう』
中村暁野
※特典:同タイトルのショートムービーを見れるURLが付いてます。

四六変型版、84ページ

止まることのない時間と、止めようもないものたちに向き合うために今、わたしができること。家族という小さな社会から、この世界のことを考える。

家族をテーマに執筆活動を続ける中村暁野による、最新作。
お隣に越してきたある家族との出会い、過ごした時間。小さな日々の連なりを見つめて生まれた物語たち。日本人のお父さん、リトアニア人のお母さん、その2人の間に生まれた娘さん。言葉、こころ、国、大人、子ども、戦争。
わたしたちを隔てるいくつもの壁に気づいた「わたし」がその壁に向かうまで。
2021年に刊行された『家族カレンダー』の続きのようにも読める一冊です。

「壁の前でうたをうたう」について

「家族ってなんだろう?」
そんな答えのない問いを考え始めて、気づいたら随分と時が経っていました。

自分が家族を持ったこと、そして関係が思うようにいかなかったことをきっかけに、わたしは「家族」について考える活動を始めました。

最初は「家族と一年誌」という雑誌を作りました。
ひとつの家族を一年かけて取材して、一冊丸ごと取り上げる、制作はわたしと、わたしの家族(夫と子どもたち)全員で行う。そんな雑誌を2冊、制作し発売しました。

並行して毎日毎日、日記を書き続けていました。
幸せな日もある。でも幸せじゃない日だってある。
ささやかで、だからこそ書き残さないと忘れてしまう家族との毎日を5年以上、1日も抜かすことなく書き続けていたら、一冊の本にする機会をいただきました。
それが昨年11月、アノニマ・スタジオから刊行した「家族カレンダー」という本です。
この本は2020年の3月までの、ちょうどコロナ禍が始まった時期までをまとめたものです。

2020年の春以降も、わたしが毎日を重ねる間に、世界はいろいろなことが起こり続けました。パンデミックに翻弄され子どもたちは学校に行けなくなったり、仕事がなくなったり、それでも世界的な祭典は開催されたり、つぎからつぎへと何かが起こり、訳がわからなくなりながらも、それでもわたしの毎日は概ね、平和に続きました。泣いたり怒ったりすることもありましたが、概ね、平和に。
そして、新しい戦争がはじまりました。
わたしがいるこの世界には、いつでも止まることのない時間と、止めようもないことがありました。
毎日日記を書き続けながら、それでも足りない、全然足りない「なにか」を感じていました。なにかしたい、しなくては。でも「なに」を?

そんな時間の中である家族と出会いました。
お父さんは日本人、お母さんはリトアニア人、ふたりの間に生まれ育つ,5歳の娘UTAちゃん。
お隣に越してきたその家族と過ごす時間を通して、わたしは2020年の春以降に心に溜まったものたちを、言葉にするべきだと思いました。

止まることのない時間と、止めようもないものたちに向き合うために、わたしができることは、文章を書くこと。そして「家族」を通して世界のことを考え続けること。
そう思って、この「壁の前でうたをうたう」という作品を書きました。

家族という小さな社会から、この世界のことを考える。
ずっと考え続けてきて、この先も考え続けていく問いの、2022年のかたちです。
中村暁野

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